広報ニュース

第196号インダストリオール・ウェブサイトニュース

インドで数百万人が労働者の権利擁護のためにスト決行

2025-07-10

今日、インド全国で――フォーマル/インフォーマル両部門および農村部・都市部の――何百万もの労働者が、現右翼政権下でひどくむしばまれている権利を擁護するためにストを決行し、街頭に繰り出した。この全国的なゼネストは、インドの中央労働組合共同プラットフォームが、政府の反労働者的政策との闘いを強化するために、部門別独立連合団体および農民組織とともに呼びかけた。


インドの労働組合は、労働者に敵対的な中央政府と州政府の政策に対して絶えず懸念を提起してきた。アンドラプラデシュ州政府は先ごろ法律を修正し、労働時間を10時間に増やした。苦労して得た労働者の権利の弱体化が続き、民主的権利に対する攻撃の激化とともに失業が増え、生活費が上昇し、賃金が停滞していることから、勤労大衆の間で不満が高まっている。

インダストリオール執行委員でインド鉄鋼・金属・機械労連書記長のサンジャイ・バダブカールは言う。

「今日のスト成功は、インドの労働者階級が現政権の反労働者的・反国民的な政策に全面的に反対していることを示している。政府が4つの労働法とその実施を撤回するまで、労働者は闘い続ける。インドの労働組合は団結しており、労働者の権利を擁護するために闘いを続ける」

組合はストに先立って労働者を動員するために活発なキャンペーンを実施し、特に反労働者的な労働法について認識を高めた。中央労働組合共同プラットフォームが打ち出している主な要求は次のようなものである。

  • 反労働者的な労働法の廃棄
  • あらゆる形態の不安定雇用の根絶
  • 公共部門の企業の民営化阻止
  • 旧年金制度の復活
  • 2万6000インド・ルピー(303米ドル)の全国最低賃金と5年ごとの定期的改定
  • ILO第87号条約および第98号条約の批准

インダストリオール執行委員でユニオンズ・ユナイテッド議長のゴータム・モディーは言う。

「スト権が攻撃を受けているとき、ストライキは極右政権と厚かましい資本家階級に私たちの力を示す唯一の方法だ。それが私たちの今日の行動だ。そして、政府が労働法を撤回しなければ再びストをする! 何度も!」

アトレ・ホイエ・インダストリオール書記長は言う。

「インダストリオールは、インドでスト中の労働者と一致団結する。民主的権利の弾圧と制限にさらされながら、自国で労働者の運動の促進と民主的組織の保護のために闘い続けているインドの労働組合の闘志に敬意を表する。これらの著しく抑圧的な法改正に対抗して団結を示したことは、世界中の労働者階級の運動にとってインスピレーションの源となる」

【原文記事URL】
India: millions of workers go on strike to defend workers’ rights | IndustriALL

 

サザンコーンのリチウム――グローバル・サプライチェーンの緊張と機会

2025-07-17

アルゼンチンとチリのリチウム鉱業に関する研究で、エネルギー転換の戦略的産業における労働組合と企業、政府の複雑な関係が明らかになった。この報告書は、バッテリーサプライチェーンに関するFES−インダストリオール・プロジェクトの一環として作成され、統治と労働条件、人権デュー・ディリジェンスに関する課題を強調している。


報告発表の場で、アルゼンチンとチリのリチウム鉱業部門の状況をめぐる議論が行われた。両国は、電気自動車・クリーン技術用バッテリーの製造に不可欠なリチウムの埋蔵量が豊富な重要地域、リチウム・トライアングルに属している。この研究は、労働組合協力の強化と社会・環境基準の改善を目的として、労働者と企業、政府の関係を調べている。

報告書は、両国が主要な輸出先でもあるオーストラリアと中国に世界市場シェアを奪われているにもかかわらず、国内でのリチウム生産を増やしている一方で、下流の工業化プロセスはまだ揺籃期にあることを強調している。アルゼンチンでは統治枠組みが分裂し、連邦政府の管理下に置かれているが、チリはより集権的なモデルに移行しており、国の存在感が強まっている。

雇用面では、労働強度が低く、外部委託と賃金不平等が目立つが、総雇用量と女性参画は拡大している。労働組合代表は強力だが、これまで以上に不安定化・断片化している契約に関連する困難によって妨げられている。

人権デュー・ディリジェンス方針の実施は限定的で、主に自主基準に基づいている。しかし、ヨーロッパにおける厳しい規制の導入は、企業に対する圧力を強めてサプライチェーン全体で遵守を改善する機会とみなされている。

この研究はアルゼンチンとチリの4人の研究者が実施したもので、目的はインダストリオール加盟組織に、成長しているが大きな労働・環境課題を抱えている部門で、キープレーヤーと政治圧力の対象を確認する手段を提供することだった。

この発表には、AOMA(アルゼンチン)とIndustrial Chile Constrametの代表が、インダストリオール代表のローラ・カーター・ラテンアメリカ地域事務所所長代理、ゲオルク・ロイテルト自動車産業担当部長、ダイアナ・ジュンケラ・エネルギーと公正な移行担当部長とともに参加し、次のように述べた。

「この調査報告書により、加盟組織はバッテリーサプライチェーン全体で、特にリチウム鉱業で、より多くの労働者を組織化できるようにしてくれる重要な情報と手段を入手できる。加盟組織が直面している課題を理解することは、彼らを支援できるようにするために不可欠だ。加盟組織はこの情報を自分のものにして、労働組合活動で戦略的に利用できるようになる」

【原文記事URL】
Lithium in the Southern Cone: Tensions and opportunities in the global supply chain | IndustriALL

 

南アフリカのグリーン雇用とは?

2025-07-17

南アフリカはよりグリーンな経済の追求において重大な局面にあり、「グリーン雇用のマッピング、技能開発および公正なエネルギー転換」というタイトルの調査報告書の所見は、グリーン雇用の変革可能性を強調している。この報告は、的を絞ったアップスキリングと国際協力、政策によって、労働者の権利と生活を守る公正な移行を確保しなければならないと力説している。


全国鉱山労組(NUM)の研究部門であるサム・タンバニ研究所(SATRI)による調査報告書は、再生可能エネルギーバリューチェーンと重要移行鉱物(CTM)――リチウム、コバルト、ニッケルなど――における潜在的グリーン雇用を精査し、この変化で生じる機会と課題を詳しく検証している。

報告書によると、グリーン雇用の概念をめぐっては今も論争がある。南アフリカの鉱業・エネルギー部門の多くの労働者は、グリーン雇用を再生可能エネルギーとしか関連づけておらず、CTMの探査や選鉱、精製のような関連分野の機会を見落としている。だが、この報告は再生可能エネルギー、特に製造、建設、設置、運転、維持管理および研究開発において、大きな雇用創出の可能性を確認している。しかし、これらの役割は現地での付加価値と専門技能の学習に依存している。例えば、グリーンインフラやサービスの開発には工学的・技術的・科学的専門知識が重要であり、運営管理・監視技能はグリーンテクノロジーの効率的な採用を確保する。

この報告書は、労働組合の主な関心事が、9万人以上の労働者を雇用する石炭部門の失業をグリーン雇用が相殺できるかどうかであることを強調している。さらに、どれくらいの雇用が創出されるか、それらの雇用は石炭に依存している地域社会が失業のリスクにさらされているムプマランガのような地域で生まれるかという、南アフリカのエネルギー転換問題を概説している。炭鉱労働者はグリーンな役割のために新技能を習得できるか、組合結成のような苦労して得た権利は再生可能エネルギー部門で維持されるか? 明確な答えを出さなければ、組合は石炭から再生可能エネルギーへの移行がどのように労働者に利益をもたらすかを理解できない、と報告書は示唆している。

この報告書は、技能開発がグリーンな雇用機会を開放する鍵であると力説。不可欠な技能は、グリーンインフラを製造するための工学的・技術的専門知識、革新のための科学的知識、グリーン製品へのアクセスを促進する運営管理、再生可能エネルギー源の利用を最適化するための監視にある、と述べている。

これらの技能を習得するには、的を絞った訓練プログラムによって、労働者、特に石炭ベースの産業から移行している労働者に準備をさせる必要がある。CTMについては、雇用創出は現地の選鉱・精製にかかっており、そのためには国際的な技術・財政支援によって能力を構築する必要がある。

この移行は南アフリカのグリーンエコノミーの一部で優位を占めるインフォーマル労働者にも課題をもたらす、と報告書は主張する。南アフリカは32.9%の失業率と苦闘しており、15〜24歳の若者は60.7%、女性は35.7%とさらに高く、グリーン雇用の正規化が重要である。

ポール・ヌデソミン・インダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所所長は次のように述べた。

「私たちはグリーンエコノミーや再生可能エネルギーへの移行に関する労働組合の政治的な立場について知識を構築するために、研究組織やパートナーと協力し続けている。この報告書は労働者のための公正で包括的な移行に貢献する」

NUMはインダストリオール・グローバルユニオンに加盟しており、この研究はインダストリオール・サハラ以南アフリカ地域事務所とデンマーク労働者統一連盟(3F)によって支援された。

【原文記事URL】
What are South Africa’s green jobs? | IndustriALL

 

フレクストロニクス・テクノロジーSdn Bhdで組合つぶし

2025-07-26

フレクストロニクス・ペナンで労働者の圧倒的多数が組合承認に賛成票を投じたが、この手続きは同労組が言う攻撃的な会社主導の組合つぶしキャンペーンによって阻止された。


インダストリオール加盟組織のマレーシア電子産業従業員組合北部地域(EIEUNR)は、必要な投票率にわずかに届かなかったため、フレクストロニクス・テクノロジー(ペナン)Sdn Bhd(FLEX)での極めて重要な無記名投票に敗れた。6345人の有資格労働者のうち2748人が票を投じ、マレーシアの労働法によって必要とされる投票率50%に424人足りなかった。それにもかかわらず、投票者の92%が組合承認を支持し、すべての労働者が干渉されないで自由に投票することを認められていれば、同労組が勝利していたであろうことを示唆していた。

7月14-15日の投票までの数カ月間に、EIEUNRはFLEX経営陣による「容赦ない反組合キャンペーン」に直面した。管理者と監督が状況説明会を開いて労働者に組合加入を思いとどまらせ、従業員は組合を支持すれば既存の給付を失うことになると脅された。同社は7月14日に振替公休日を宣言する回覧状を出したが、監督は労働者に出勤しないよう口頭で伝え、投票プロセスをめぐって混乱と不確実性を生み出した。

伝えられるところでは、労働者が掲示板に貼られた有権者リストを見ようとするのを警備員が妨害し、恐怖感を与えた。同社は労働者を工場に送るバスとバンも遅らせ、場合によっては投票ブースを完全に迂回して生産エリアに直送した。

投票から1週間後、80人のフレクストロニクス労働者が警察に届け出て、ワークステーションから投票会場まで行くのを監督が妨害し、口頭による警告で脅して威嚇・報復に対する懸念を広めたと申し立てた。

デービッド・アルラッペンEIEU書記長は次のように述べた。

「警察が無記名投票プロセス中の使用者による直接・間接の威嚇を調査するよう要求する。スティーブン・シム人的資源大臣に対し、直ちに介入し、FLEXによる組合差別のない公正な条件の下で再度投票することを求める」

フレクストロニクス・テクノロジー(ペナン)Sdn Bhdは、世界有数の電子機器受託製造サービス会社FLEX社の傘下企業である。FLEXはシンガポールに法律上の本社を、テキサス州オースティンに経営上の本社を置いており、30カ国を超える国々で100カ所超の施設を運営、17万人超を雇用している。ペナン工場はアジアの主要生産拠点の1つであり、同社の年間260億米ドルの収益に貢献している。FLEXは、家電製品や自動車、通信、医療分野の主要な世界的ブランド向けに製造し、サプライチェーンサービスを提供している。

2025年3月、FLEXは倫理、遵守および統治へのコミットメントを理由に、3年連続で工業生産カテゴリー有数の倫理的企業として承認された。

アレクサンダー・イワーノウ・インダストリオールICT電機・電子部門担当部長は次のように述べた。

「インダストリオールは7月11日にFLEX CEOのレバティ・アドバイティに書簡を送り、組合つぶし慣行の中止を強く促した。FLEXが私たちの要求を無視し、一連の不当労働行為が一因で投票に敗れたことを残念に思う。この事例を国際レベルの処理事項とする予定で、マレーシア政府に対し、FLEXに対して断固たる処置を取り、団結権および団体交渉権に関するILO第98号条約の遵守を確保するよう要請する。加えて、同社が包括的な改善策の実施によって、発生した違反に対処し、影響を受けた労働者のために公正を取り戻し、将来のさらなる組合つぶしを防止することを要求する」

【原文記事URL】
Union busting at Flextronics Technology Sdn Bhd | IndustriALL

 

 

インダストリオールは、ガザへの人道支援の即時アクセスと、戦争、封鎖、占領の停止を要求する。

2025-08-04

声明:インダストリオールは、ガザで深刻化する人道上の大惨事、特に子供たちを含む無実の民間人の生命が奪われ続けている事態に、深刻な懸念と怒りを表明する。


世界は、ネタニヤフ政権が課した違法な封鎖と、食料にアクセスしようとした民間人の殺害により、ガザの住民が極度の飢餓と栄養失調に苦しんでいるという悲劇の展開を目の当たりにしている。これらの行為は、国際人道法に明白に違反し、人類の根本的な価値観に対する冒涜である。

報告によると、過去 2 ヶ月間に 1,000 人以上のパレスチナ人が食糧を手にしようとして殺害された。インダストリオールは、この恐ろしい状況を最も強い言葉で非難し、ガザの人々に人道支援が妨げられることなく提供され、即時停戦が直ちに実施されることを緊急に要求する。

インダストリオールは、UNRWA および国際労働機関(ILO)のパレスチナ占領地域における復興プログラムによる重要な取り組みを強力に支持する。

さらに、インダストリオールは、国際海域でイスラエル軍によって迎撃、拘束された人道支援船「ハンダラ」の民間乗組員の即時解放を求める。この船は、ガザに向けて、21 人の平和活動家(その中には数人の労働組合活動家も含まれている)を乗せて、不可欠な人道支援物資を輸送していた。

インダストリオールは、尊厳を平和的に追求するパレスチナ国民と労働者に対する連帯、および二国家解決とパレスチナ国家の正式承認に基づく恒久的な解決への支持を改めて表明する。

【原文記事URL】
IndustriALL demands immediate humanitarian access to Gaza and an end to the war, blockade and occupation | IndustriALL

 

USスチール工場の爆発で労働者2人が死亡

2025-08-13

8月11日にペンシルベニアのUSスチール工場で大きな爆発があり、労働者2人が死亡、10人が負傷した。


爆発の原因は調査中である。報告によると、事故発生時、労働者たちは日常的な作業を実施していた。

石炭をコークスに加工しているクレアトン・コークス工場では、ここ数十年間に何度か爆発事故があった。2009年に保守労働者1人が爆風で死亡し、翌年にも爆発により20人の労働者が負傷した。今年2月には、バッテリーの故障で可燃物の山が発火し、労働者2人が軽傷を負った。

USW第10地区責任者のバーニー・ホールは、今回の事故を受けて次のように述べた。

「USWはクレアトン工場の現場に労働安全衛生専門家などの代表を派遣し、状況を把握するとともに組合員を援助している。まだ事故の規模の大きさを見極めようとしているところだが、多数の労働者が負傷して治療を受けていること分かっている。近日中に関係当局と協力して徹底的な調査を確保し、組合員が必要な支援を受けられるようにする」

写真:クレアトン工場。提供:Joseph, Flickr

【原文記事URL】
Two workers killed in explosion at US Steel plant | IndustriALL