第55回労働リーダーシップコースを開催、11月2日に閉校
~38名(うち女性7名)が受講~
◆概要
「時代の求める労働組合の役割」を総合テーマに同志社大学・関西セミナーハウス活動センター協力のもと開催した。また、新型コロナウイルス感染症も落ち着き、感染法上も5類に引き下げられたことから、引き続き感染対策には留意しながら従来の受講生数に戻し、実施した。
4本の柱にもとづく全人格的な教育をめざし、労働法や労使関係論など実践的な講義から、国内外の労働運動などの歴史的背景を学ぶ講義、職場の人間関係について考えるメンタルヘルスに関する講義、DXやAIについて学ぶ講義など幅広いカリキュラムに加え、坐禅やお茶室体験など日本固有のカルチャーに触れるプログラムも実施した。また、鞍馬寺で鞍馬山の自然環境について学ぶ「鞍馬山散策」も全員参加で実施した。
特別講演「経営と人間」では、静岡市の(株)山崎製作所代表取締役社長の山崎かおり氏から講演を受けた。山崎社長は実父から板金加工の会社を引き継いだ後、事業継承のピンチを迎えながらも社員全員参加型の会社経営を目指して乗り切るなど、自社プロダクトブランド「三代目板金屋」を立ち上げて女性社員を中心に新しい発想でインテリアやかんざしなどの製品を加工・販売している。また地域活動として地元静岡市でオープンファクトリーの発起人としてイベントを立ち上げるなど、社長の発想力・行動力に、受講生も大いに刺激を受けた。
労働組合・職場の課題を指導教授や受講生同士で討議を重ねながら解決案を探求するゼミナールでは5つのテーマに分かれ4回にわたり討議を重ね、最後にゼミナールごとにパワーポイントを使って発表を行い、成果を共有しあった。また、受講生だけで行う「討論会」の他、金属労協議長・副議長と受講生がテーマごとに分かれて行う特別討論会「金属労協三役と語ろう」を実施した。特別討論会では、討論会委員を中心に「政治活動の日常化」「ものづくり産業の魅力向上について」「組合員の多様性と活動の場の提供」「労働組合の伝統の見直し」「女性役員の担い手」など日頃組合で抱えている課題など5つのテーマについて三役と語り合った。
第55回コースの受講生は、過去最多の女性7名を含む38名。その結果、旧西日本コース(現在の労働リーダーシップコース)の修了生は、通算で1,870名となった。旧東日本コース(第1~40回)の939名と合わせて、労働リーダーシップコースの修了生は2,809名となった。
◆開校式
2024年10月17日(木)10時から開校式を行った。篠笛(森田玲・玲月流初代)の奏楽で始まり、式辞として香川孝三校長(神戸大学名誉教授)が、コースの意義を述べるとともに、受講生を激励した。小原克博名誉校長(同志社大学学長)からは同志社大学創立者の新島襄の言葉を引用し「寒梅のごとく風雪があったとしても抗って道を拓いていくようなリーダーになっていただきたい」と激励した。また主催者代表挨拶として金子金属労協議長が挨拶に立ち、「仲間同士遠慮なく話し合い、充実した日々を過ごしていただきたい」と述べた。来賓の厚生労働省・森川政策統括官からは「このコースで学ばれた知識をもとに労働界のけん引役になっていただくことを期待しています。本コースがますます充実・発展されることを祈念します」と激励された。次に関西ブロック・嶋本代表が、続いて、石田光男副校長が挨拶に立ち受講生を激励した。最後に受講生を代表してシャープ労働組合中央専門部長・坂巻加奈子さんが受講生宣誓を行い、開校式を終了した。
◆講義(4つの柱に基づく全人格的教育)
縦:「自分の立つ歴史的背景を学ぶ」、点:「自分の立っている場について学ぶ」、横:「自分の住む世界の拡がりについて学ぶ」、深:「自。分の生きる基礎について学ぶ」、の4つの柱に基づく計12講義を受講した。
◆特別プログラム
金属労協議長・副議長と受講生が5つのテーマに分かれて討議を行う「特別討論会~三役と語ろう~」や、企業経営者の方からご自身の経験を通じた経営論や人生観など語っていただく特別講演「経営と人間」、京都ならではのプログラム「お茶室体験」、京都の自然に学ぶ「鞍馬山散策」「比叡山登山(※オプション)」など講義以外の特別プログラムも実施した。
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◆ゼミナールのテーマ
香川ゼミ 『労働組合と国際』~国際社会における労働組合の役割
石田ゼミ 『労働組合と職場』~働き方改革を労働組合の力で~
中田ゼミ 『労働組合と社会』~仕事と処遇 納得性のある給与水準
上田ゼミ 『労働組合と企業』~『魅力ある会社・職場づくり』の実現に向けた労働組合の役割
寺井ゼミ 『労働組合と働き方』~ワーク・ライフ・バランスと労働組合の役割
◆実行委員会
各ゼミナールから班長、副班長を各1名互選し、計10名で実行委員会を編成、実行委員会の中から1名級長を互選する。コースは受講生の主体的な運営を基本とし、実行委員会がその中心となる。今回も女性が積極的に参画し、10名中3名が実行委員で活躍した。実行委員は次のとおり。
級長:木村健太郎(JFEスチール福山労組、中田ゼミ班長)
副級長:萬福勝行(JFEスチール福山労組、香川ゼミ班長)、宮脇さやか(スズキ労組、石田ゼミ班長)、
藤原和幸(ダイハツ労組、上田ゼミ班長)、大津 寛(全本田労連、寺井ゼミ班長)
実行委員:深町貴志(コマツユニオン本社営業支部、香川ゼミ副班長)、
江尻裕一(パナソニック エレクトリックワークス労組直轄総合支部、石田ゼミ副班長)
大沢幸春(パナソニックアプライアンスユニオンくらしアプライアンス支部、中田ゼミ副班長)、
坂巻加奈子(シャープ労組、上田ゼミ副班長)、
森﨑夏代(パナソニック コネクト労組、寺井ゼミ副班長)
◆受講生による自主運営
労働リーダーシップコースの運営は、受講生による自主運営を基本としている。上記実行委員会の他にも講義の司会進行する「座長」、討論会を企画する「討論会委員会」そして第54回から新たに発足した「ラジオ体操・散歩委員会」。事務局が誘導していた散歩コースも受講生が主体的に決定・誘導することとした。第55回ではラジオ体操・散歩だけではなく、短時間でできるレクリエーションも取り入れ、受講生の交流も図った。また、実行委員会では「BBQ」も企画。最後のゼミまとめに向け、英気を養った。
◆閉校式
2024年11月2日(土)朝から出発(たびだち)の集いを行い、受講生一人ひとり、感想を述べ合った。
その後、閉校式を行った。式辞として香川孝三校長(神戸大学名誉教授)が「教えるということは学ぶということと同じ。我々講師が皆さんから学ばせていただいている。この出会いを大切に、人間的つながりを続けていっていただきたい」と激励し、38名全員に修了証書を授与した。主催者代表挨拶として梅田利也金属労協事務局長が挨拶に立ち「非常に難しい時代の今、我々労働組合の果たすべき役割は非常に大きい。労働組合の最大の武器は『人』である。労働組合のこれからを担っていけるのは、ここにいる皆さんだ。その気概を持って取り組みを行っていただきたい」と述べた。その後、ゼミナール担当講師の石田副校長(同志社大学名誉教授)、中田運営委員(同志社大学教授)、上田眞士運営委員(同志社大学教授)、寺井基博運営委員(同志社大学准教授)が修了生を激励した。
受講生代表としての答辞では、第55回級長のJFEスチール福山労働組合・木村健太郎総務部長が研修期間中の思い出を語るとともに、座長・討論会委員・ラジオ体操委員をねぎらった。さらに「私たちは、まだまだ弱いです。でも、『進みながら強くなれます!』そして、いずれは、将来の労働界の屋台骨となれるよう、切磋琢磨しあいながら、成長していきましょう!」と、これからの決意を述べた。最後に「卒業の歌」を全員で合唱し、閉校式を終えた。